平成29年度税制改正により、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われました。
今年も10月に入り、あとわずかとなります。
翌年より適用される改正について、見落としが無いようご確認ください。
この改正により、平成30年分からの配偶者の給与収入103万円の壁は150万円と引き上げられ、
配偶者特別控除の給与収入141万円の壁は201万円に引き上げられました。
ただし、納税者の所得制限も厳密に設定されたため、適用要件については注意が必要です。
しかし、この改正を行っても、社会保険料負担が発生する130万円の壁は依然としてあるため、パート層等の
就労調整を解消できるか否かは、今後の経済動向で見えてくると思われます。
詳細は下記の通りです。
1、配偶者控除
(1)概要
納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、下記の所得控除が受けられます。
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、下記の要件の全てを満たしている人です。
① 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
② 納税者と生計を一にしていること。
③ 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合には、給与収入が103万円以下)
④ 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと
又は白色申告者の事業専従者でないこと。
※ 平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、
配偶者控除は受けられません。
(2)改正前(平成29年分まで)
納税者本人 :所得制限無し
配偶者控除 :38万円
老人配偶者控除:48万円
(3)改正後(平成30年より、単位:万円)
【納税者の所得金額(給与収入のみ:目安)】 【配偶者控除額】 【老人配偶者控除】
・900 以下(1,120)以下 ⇒ 38 48
・950 以下(1,170)以下 ⇒ 26 32
・1,000以下(1,220)以下 ⇒ 13 16
・1,000超 ⇒ 無し 無し
2、配偶者特別控除
(1)概要
配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、
配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられます。
なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。
配偶者特別控除を受けるための要件は次の通りです。
① 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
② 配偶者が、次の五つの要件すべてに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は
白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 他の人の扶養親族となっていないこと。
ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満(注)であること。
(注)平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが
要件になります。
(2)改正前(平成29年分まで、単位:万円)
【配偶者の所得金額】 【控除額】
(給与収入のみ:目安)
・38(103) 超 40(105)未満 ⇒ 38
・40(105)以上 45(110)未満 ⇒ 36
・45(110)以上 50(115)未満 ⇒ 31
・50(115)以上 55(120)未満 ⇒ 26
・55(120)以上 60(125)未満 ⇒ 21
・60(125)以上 65(130)未満 ⇒ 16
・65(125)以上 70(135)未満 ⇒ 11
・70(135)以上 75(140)未満 ⇒ 6
・75(140)以上 76(141)未満 ⇒ 3
・76(141) 超 ⇒ 無し
(2)改正後(平成30年分より、単位:万円)
【配偶者の所得金額】 【控除額】
(給与収入のみ:目安) 【納税者の合計所得金額(給与収入のみ:目安)】
[900以下(1,120以下)][950以下(1,170以下)][1,000以下(1,220以下)]
・38(103) 超 85(150)以下 ⇒ 38 26 13
・85(150) 超 90(155)以下 ⇒ 36 24 12
・90(155) 超 95(160)以下 ⇒ 31 21 11
・95(160) 超 100(167)以下 ⇒ 26 18 9
・100(167)超 105(175)以下 ⇒ 21 14 7
・105(175)超 110(183)以下 ⇒ 16 11 6
・110(183)超 115(190)以下 ⇒ 11 8 4
・115(190)超 120(197)以下 ⇒ 6 4 2
・120(197)超 123(201)以下 ⇒ 3 2 1
・123(201)超 ⇒ 無し 無し 無し